屋内にこもりがちな現代人が太陽の光をより良く享受するための景観とは、どのようなものだろうか。
Solar Chime は、太陽エネルギーによって音を奏でるサウンド・インスタレーションである。
洞窟に響く水琴窟の神秘的な水音から着想を得たこの自転式のチャイムは、それぞれのチャイム同士の軌道が偶然に重なったときにのみ音を奏でる。太陽光の強弱によって音の鳴る頻度にも変化が生まれ、常に異なるリズムと間合いが立ち現れる。
太陽光は人の手による制御が不可能な自然エネルギーであるが、それを高度かつ合理的に設計された現代の生活に統合するには、我々自身が今一度、太陽と真摯に向き合う必要がある。
自然特有の、生き物のような不安定さを受け入れ、そのエネルギーを視覚的に表現することで、鑑賞者の視線を、その先にある未知の可能性へと導くことを意図した。

制作：高本夏実
撮影：Doyoung Kim